アイドルグループ「Wi-Fi-5」のMVを30人、60台のカメラ、1TBのデータで作る

Koya Matsuo
Backstage of Backspace
9 min readApr 19, 2019

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4月7日、あるアイドルグループが初のワンマンライブを新宿で行いました。そのライブ終了後、30人が60台のカメラを携えて会場に入り、彼女たちのパフォーマンスを撮影、その結果、1TB近くの映像データが生み出されました。

なんのためか? それは、彼女たち、Wi-Fi-5のミュージックビデオ(MV)を作るためです。Wi-Fi-5は、日中米のティーンから構成された、(現在は)4人組のガールズユニット。アニメの主題歌なども歌っています。

そんな彼女たちが、テック系ポッドキャスト番組のbackspace.fmと手を組み、backspace.fmの専用SNSである、マストドンインスタンスのグルドンを活用。そこから30人の参加者を選び出し、Wi-Fi-5の楽曲でミュージックビデオを作ろうという試みなのです。

楽曲は、「マイクロコスモス English Version」。合計3回のパフォーマンスを固定カメラを含めて60台に収めました。

その様子を撮った360度動画がこちら。彼女たちの背後にいるのはグルドンの撮影隊です。

単独ライブ自体も大成功。地下で電波が届かない会場でもWi-Fiにアクセスできるよう、NTTBPの「ファンクラブWi-Fi」という仕組みを使った、無料Wi-Fiが提供されました。キャンドルライトがアプリ内で使えたり、会場限定のビデオが再生できたり、なかなか面白い取り組みです。Wi-Fi-5でWi-Fiが使えるのです。

撮影データは参加者だけにネット共有しました。あまりにファイルサイズが大きく、共有者が多いため、既存のクラウドストレージでは弾かれてしまい、BitTorrentプロトコルを使ったP2P共有サービスResilio Syncを使うほどでした。

それでもダウンロードが間に合わない、帯域制限がかかっている人向けに(筆者はJ:COMから配達証明付きで帯域制限かけるぞという通知が届きました)、筆者がハードディスクにコピーして、手渡しするといった、記憶屋ジョニィ的なこともやりました。

参加者とカフェで落ち合い、"come on come on come on"と言いながらデータ転送中

このプロジェクトはコンテスト形式になっており、締め切りは4月25日。28日に入賞者の発表が行われるのですが、約30本の作品が投稿されているので、それを紹介していきますね。

ずば抜けて早く完成させたピーターさんの作品
GoodrManさんは撮影前後の様子も映し出したロングバージョン
トミコ クレアさんが描いたイラストをアニメーションした、いたぬまさんの作品
自らアイドルサイトに関わった経験を持つという、ぷくともさんの作品
鹿児島から駆けつけてくれたkabaさんはシネスコで
赤と青を基調に80年代っぽい雰囲気を出したdizさんの作品(Wi-Fi-5賞
光煌めく映像作品を作ったのはしらいしわたる(Wataxxx)さん(backspace賞
24studioさんは全てのカメラ映像を取り込んだ
nittanameさんの作品は字幕入りで、英語詞を練習できる
大友純さんの作品は色調の変化に注目
カタカナで歌うこともできるdavetanakaさんの作品
キュートな表情を捉えたEM AIさんの作品
真照さんの作品は日本語詞との微妙な違いを実感できる
やすさんはモノクロームでエイティーズより少し昔の雰囲気を
mikajiさんは多数のカメラ群を駆使したアングル切り替えで
意表を突く謎のCGキャラクターがストーリーを描くtaroxさんの作品
熱心なファンのふくいさんも参加、新衣装とパフォーマンスに注目
おかゆさんは切り替えのセンスを見せる
肌の色の調整がすごい、24studioさんの2作目
Yasutaka KiyotaさんはなんとiPhoneとiPad Proだけで編集
たけドンさんの作品視聴は必ずスマートフォンを縦にして
まるこさんのWi-Fi-5はモノクロ&クールがテーマ
スクエアな画面で表情を切り取るMabuさんの作品
しぐれさんの作品は40秒のショートバージョン
締め切り前日のPC破損データ全壊にめげず再構築したUZさんの作品
来夢さんが映ったカメラからの展開に注目のyoneさん作品
Rinさんの作品は、4:3画面で時代性を表現
YouTubeプレミア公開で披露したokarinaさんの作品

審査対象作品はここまで、残りは遅刻組と、審査対象外参加者です

遅刻組の近森さんはたくさんのかわいい表情を集めてくれた
パートカラーによる大人の雰囲気なWi-Fi-5を描いたのはKeizouさん

4月25日の締め切りが来て、みなさんの作業はほぼ完了。自分が撮影した分だけでなく、他のカメラ撮影分も含め、280クリップ以上あるので、それをチェックしていくだけでも大変。でも、様々なアングルで、多種多様なカメラ、レンズで撮られているので、うまく使いこなせばすごいものができるのです。

そこから約30本のミュージックビデオが生まれました。

このプロジェクトを進めるため、参加者は専用のDiscordチャットルームに集まり、色調整やYouTube書き出しやらマルチカム処理といった様々な難題に関するTipsを共有し、お互いに研鑽・激励しながら編集を進めています。ロゴデータなど必要なものがあれば、誰かが投稿してみんなが共有する。参加者たちは確実にスキルを上げたことでしょう。

クリエイターとしてはライバルなのに、みんながコラボしている。自分でも参加してみたくて、短いクリップを作ってみました。

Wi-Fi-5に自分の初代ウォークマンを渡して、カセットテープを入れて、スイッチを押してもらうシーンだけですが、これはiPhoneで撮影し、iMovieで編集したものです。楽曲は短くエディットしました。このシーン(の別アングル)が他の参加者にうまく使われているのも楽しみの一つです。

R&BシンガーであるSWEEPさん提供のこの曲があまりに良すぎたので、自分で「歌ってみた」してみました。伴奏はiPhoneのGarageBandで。背景映像は、僕のカメラを使ってKeizouさんが撮ってくださったものです。

よかったら、それぞれのMVを見て、YouTubeでいいね、感想などをいただけるとうれしいです。

受賞者発表は、4月28日午後2時から。Wi-Fi-5のメンバーとともに行う予定です。YouTube Liveとポッドキャストでお送りするのでお楽しみに!

追記:受賞者発表が終わりました。大賞であるWi-Fi-5賞はdizさん(YouTubeチャンネル)に、同じく大賞のbackspace賞はしらいしわたる/Wataxxxさん(YouTubeチャンネル)に、それぞれ決まりました。

受賞作品の詳細については別記事で紹介しています。

改めて、この2作品をご覧ください。

福岡から撮影に参加してくれたdizさん(Wi-Fi-5賞
しらいしさん編集技術についてのは様々な情報も提供してくれました(backspace賞

おめでとうございます!

ドリキンもようやくMVを作りました。studio24さんがBlackmagic Pocket Cinema Camera 4Kというカメラで撮影したクリップに、カラーグレーディングという色調整を施した実験的作品です。こちらも良かったら。

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松尾P。妻の歌声である妻音源とりちゃんとともに音楽を作っています。永遠に超愛妻家です。